黒き藥師と久遠の花【完】
 困ったようにレオニードの眉間にシワが寄る。
 しばらく真正面から見つめ合った後、彼はため息混じりに呟いた。

「彼女は俺の幼なじみなんだ。小さい時はよく俺の後ろについて歩いて、遊んで欲しいとよくせがまれていたな」

 ピクリ、とみなものこめかみが引きつる。

 同じような話を、姉と再会した時に聞いている。
 幼い自分が、水月――今はナウムと名を変えた――によく懐いていた、と。

 昔の思い出は大切にしたいが、この過去だけは消し去ってしまいたい。
 あの男のことを思い出したくないと、なるべく考えないようにしていたが、

「いつも『お兄ちゃんのお嫁さんになる』と言って、腕にしがみついて離れなかった……あの頃はどう相手にすれば良いか分からなくて、困り果てていたものだ」

 ますます昔の自分とナウムが重なってしまい、思わずみなもはうな垂れる。
 レオニードに「大丈夫か?」と不安げな声で尋ねられ、即座に頭を上げて「ごめん、何でもないよ」と笑ってみせた。
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