黒き藥師と久遠の花【完】
 真下から覗き込むような形で、みなもはレオニードの目を見つめる。

 昼間と同じ、柔らかで優しい目。
 決して激しい眼差しではないのに、頬が熱くなってしまう。

 妙に恥ずかしくなって、みなもはわずかに顔を横に傾け、レオニードから視線を逸らす。

 彼が苦笑交じりについた息が、耳に入ってくる。
 と、大きな手がみなもの頭を撫で、そのまま首筋へと指が下りていく。

 少しくすぐったいけれど、この感触は嫌いじゃない。
 彼が自分に触れてくれる程に、ひとつ、ひとつ、細い糸で繋がっていくような気がするから。

 もう離れることがないように、強く繋がり合ってしまいたい。
 心の底からそう願いながら、みなもはレオニードの背に手を回し、自分のほうへと彼を抱き寄せる。
 
 鼻先が触れ合うほど間近になり、しばらく何も言わず、互いに見つめ合う。

 それからどちらともなく顔を近づけ、深い口づけを交わす。
 浅く、深く、何度も舌や息を絡める度に理性が薄れていくのが分かる。

 一瞬こちらを睨むクリスタの顔が脳裏に浮かび、チクリと胸が痛む。
 
 けれどレオニードを求める気持ちは弱まるどころか、自分でも持て余すほどに強くなる。
 みなもはしがみつく腕に力を込めながら、絶え間のない愛撫に身を任せた。
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