黒き藥師と久遠の花【完】
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
わずかに山際の空に赤みが差し始めた頃。
レオニードは荷袋を持ち、街の広場から南に外れた市場へと向かった。
夕食の材料を買い込む女たちで賑わう中、一点を見据えたまま黙々と歩いて行く。
周りを見ずとも、行き交う人たちが好奇の視線を投げかけているのが分かる。
この時間帯に、市場で働く以外の若者が歩き回ることが物珍しいのだろう。
みなもと出会う前までは男性ばかりに囲まれ、戦に備えて鍛錬を続ける生活を送っていた。それだけに、こんな場所へ一人で来る機会がなかった。
別に後ろめたいことはないのに、気分が落ち着かない。早く目的を果たして家へ帰りたかった。
市場の中ほどまで進み、レオニードは右側に伸びる細い路地へと入る。まだ昼間だというのに薄暗い。
しばらく歩いていくと、突き当りに一件の店があった。
出入りする扉の斜め上に、灯りの点いた小さなランプがかかっている。これがなければ、店が開いているのか閉まっているのか判断がつかない。
わずかに山際の空に赤みが差し始めた頃。
レオニードは荷袋を持ち、街の広場から南に外れた市場へと向かった。
夕食の材料を買い込む女たちで賑わう中、一点を見据えたまま黙々と歩いて行く。
周りを見ずとも、行き交う人たちが好奇の視線を投げかけているのが分かる。
この時間帯に、市場で働く以外の若者が歩き回ることが物珍しいのだろう。
みなもと出会う前までは男性ばかりに囲まれ、戦に備えて鍛錬を続ける生活を送っていた。それだけに、こんな場所へ一人で来る機会がなかった。
別に後ろめたいことはないのに、気分が落ち着かない。早く目的を果たして家へ帰りたかった。
市場の中ほどまで進み、レオニードは右側に伸びる細い路地へと入る。まだ昼間だというのに薄暗い。
しばらく歩いていくと、突き当りに一件の店があった。
出入りする扉の斜め上に、灯りの点いた小さなランプがかかっている。これがなければ、店が開いているのか閉まっているのか判断がつかない。