黒き藥師と久遠の花【完】
鈍い動きで立ち上がり、青年は「また頼むよ」と小瓶と同じ個数の銀貨を差し出した。
レオニードが受け取ってすぐに皮袋へ入れていると、青年が薄く笑いながら生温かい視線で見つめてきた。
「どうしたんだ? 言いたいことがあったら言ってくれ」
「いやー、まさかレオニードと取り引きする日が来るなんて、と思ってさ」
からかうように青年が肩をすくめる。
「だってお前が兵士を辞めたなんて、未だに信じられないんだよ。マクシム様にも一目置かれていたって、ボリスから聞いているし」
レオニードはわずかに苦笑を浮かべる。
退役が決まってすぐ、ほとんどの兵士仲間が同じようなことを言っていた。
確かに数カ月前の自分なら、兵士を辞めるなど考えもしなかった。
自分でさえ想像できなかったのだから、他の人間が驚くのも無理はない。
そんなことを考えていると、青年が声を落として言葉を続けた。
「一つ聞くけど……お前、みなもさんを恋人にしたって本当なのか?」
思わずレオニードの体が強張る。しかし、どうにか動揺を抑えて平然とした表情を保つ。
「……その話、誰から聞いたんだ?」
「誰からって言われてもなあ。多分、街にいる半数以上の人間は知ってる話だから」
レオニードが受け取ってすぐに皮袋へ入れていると、青年が薄く笑いながら生温かい視線で見つめてきた。
「どうしたんだ? 言いたいことがあったら言ってくれ」
「いやー、まさかレオニードと取り引きする日が来るなんて、と思ってさ」
からかうように青年が肩をすくめる。
「だってお前が兵士を辞めたなんて、未だに信じられないんだよ。マクシム様にも一目置かれていたって、ボリスから聞いているし」
レオニードはわずかに苦笑を浮かべる。
退役が決まってすぐ、ほとんどの兵士仲間が同じようなことを言っていた。
確かに数カ月前の自分なら、兵士を辞めるなど考えもしなかった。
自分でさえ想像できなかったのだから、他の人間が驚くのも無理はない。
そんなことを考えていると、青年が声を落として言葉を続けた。
「一つ聞くけど……お前、みなもさんを恋人にしたって本当なのか?」
思わずレオニードの体が強張る。しかし、どうにか動揺を抑えて平然とした表情を保つ。
「……その話、誰から聞いたんだ?」
「誰からって言われてもなあ。多分、街にいる半数以上の人間は知ってる話だから」