黒き藥師と久遠の花【完】
「おお、兄弟。よく無事に戻ってきてくれたな」

「当然だ。アンタの段取りが良かったから、コイツを奪うのも楽勝だったぜ」

 キリは言いながら手にしていた荷袋から、女神の衣装や装飾品をひとつずつ取り出し、机の上に置いていく。

 全てが並び終わった後、ゲイルは満足気に口端を上げた。

「良いなあ、この輝き……間違いなく本物だ。よくやってくれた。それにお前の目的も果たせたようで何よりだ」

 不敵な笑みを浮かべたまま、ゲイルが視線をみなもへ移す。
 そして全身を舐め回すように、こちらを凝視してきた。

 キリの目的? 
 嫌な予感しかせず、みなもが顔を引きつらせていると、キリが肩を抱いてきた。

「男にしておくのがもったいないくらいの美人さんだろ?」

「ああ。お前が金はいらんから、そいつが欲しいと言った時は正気を疑ったが……確かにそのツラなら、仕込めば高値で売れる」

 ……ナウムといい、キリといい、俺はどうして一癖ある厄介な男に目を付けられるんだ。
 ゲイルの嘲笑めいた声を聞きながら、みなもは嫌悪で眉をひそめてキリを見やる。
 
 人が抵抗しないのをいい事に、キリがこちらの髪に指を絡めた。

「他のヤツに売るだなんてもったいない。コイツはオレがずっと可愛がってやるんだよ」
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