黒き藥師と久遠の花【完】
『詳しくは言えねぇ。まあ、アンタの目的とはぶつからないってことは確かだ』

 己の手の内を見せないキリにムッとしたが、下手に理由を言われるよりも信憑性はある。
 みなもが押し黙っていると、キリがさらに言葉を続けた。

『オレとしては、アンタが暴れてくれたほうが目的を果たしやすいんだよ』

『なるほど。つまり連中の目を逸らすために、俺を利用したいって話か』

『ハッキリ言えばそういうことだ。オレはアンタの邪魔はしねぇし、暴れるための下準備ぐらいなら協力してやる。どうだ、悪い話じゃないだろ?』

 確かに悪い話ではない。キリが敵に回らないだけでも、身動きが取りやすい。
 ただ、この男の言うことを素直に信じる訳にはいかない。

 少し探りを入れてみたほうが良さそうだ。
 みなもは小さく唸ってから、囁き返した。

『俺が大人数を相手に、暴れられると本気で思ってるのか? あっさり取り押さえられて、お前の足を引っ張るかもしれないのに――』

 話の途中で、キリがフッと鼻で笑った。

『その心配はこれっぽっちもしてねぇよ。ナウム様がアンタのことを「使えるヤツだ」って褒めてたからな』
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