夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「夏井くんて、優しく笑う人なんだね」


―翠だけだから


―え?


―補欠のおれなんかに、毎日、頑張れよって笑ってくれるのは


「こんな板チョコなんかお返しにもならないけど、って。夏井くん。笑ったんだよ」


―翠だけだ


―また明日な、って


―こんな補欠のおれに、太陽みたいな笑顔で笑ってくれるやつ


―翠だけだ


それで、あっこは言った。


「夏井くんて無表情だから、何考えてるのかよく分からないけど、でも」


少しだけ、興奮状態で。


「もしかしたら、夏井くん、翠ちゃんのこと」


もし、そんな夢みたいな事が現実に起きたら、どんなにいいだろう。


それは奇跡みたいなものだ。


だけど、また勇気を出してみようかなんて、あたしは思った。


誘ってみようかな。


文化祭、一緒に回ってくれないかって。


勇気を出してみようか。


―もしかしたら、夏井くん、翠ちゃんのこと


あの時、あっこが言ったことは確かにあたしの勇気を揺さぶったし、あたしに自惚れをもたらした。


もっと、補欠と一緒に居たい。


補欠の隣にいたい。


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