夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
なんだ。


結衣も明里も、すっかり気付いていたのか。


「言ったら、もう、話してくれないんじゃないかなって。怖くて。最後は笑ってお別れしたいから」


あたしはもう、何も言う事ができなかった。


あっこの痛々しい気持ちを知ったからこそ、言えなかった。


―一生言わないって決めてたのに


―我慢してたのに


―頑張ったのに


あと1ヶ月でここを離れなければいけないからこそ、伝えることを諦めていたその気持ちも。


―健吾くんを困らせたくないから


両想いだと知っていても、一線引かなければと頑なになってしまった、その気持ちも。


―健吾くんのことが好きです


だけど、ひとつの衝撃で無意識のうちにポロリとこぼしてしまった、精一杯の気持ちも。


あたしが補欠に惚れているように。


健吾に惚れてしまったあっこの気持ちが、痛いほど分かってしまったから。


もう、何も言う言葉がなかった。













4人で教室に戻ると、もう全員が揃っていた。


大遅刻をして入ってきたあたしたちに、クラス中の視線が集中した。





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