夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「どうした。冬は嫌いか?」


「あー……嫌いじゃないけど」


と補欠は小難しい顔付きになって、ポケットに両手を突っ込んだ。


「雪が積もると、グラウンドで練習できなくなるから」


あーああ、補欠が漏らしたため息は、たぶん、正真正銘彼の本音だろうと思う。


冬から春までの数ヶ月という歳月は、補欠のような野球バカにはたまらんのだろう。


へびの生殺しに合うようなものかもしれない。


はらはら、ふわふわ落ちてくる初雪の向こうに、あっこの笑顔を思い描いた。


胸がきゅうっと締め付けられる。


あっこは強い女の子なんだと思う。


芯の強い、女の子。


もし、あそこに居たのがあたしと補欠だったら。


そう思うと怖い。


怖いものしらずのはずのあたしが、怖いと思うのだから怖いのだ。


あたしには、あっこのように笑って別れることなんかできなかっただろう。


補欠と離れてしまうなんて、想像もしたくない。


無意識のうちに、眉間にシワが寄っていた。


雪の降り方が強くなっていた。


上空から、ふるいにかけられたように舞い降りてくる雪の向こうに、あっこの泣き顔が浮かんで、胸がぐっと熱くなった。


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