夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
分厚い雲の隙間から陽射しが降り注ぎ、雪を輝かせていた。


「にわか雪だ!」


あたしと母は立ち止まり、同時に空を見上げた。


「キレー!」


それはなんとも言えない幻想的な光景だった。


青空を隠そうとして必死に流れる、分厚い灰色の雲から陽射しと共に降り注ぐ雪。


降りて来る雪がお日様に照らされて、金色に輝いて見えた。


病院を出てからずっと無言だった母が、ようやく口を開いた。


「お前の髪の毛と同じ色だな、翠」


キラキラ、キラキラ、キンキラキン。


陽射しが雪を染める。


「そうか? あたしの髪の毛の方が断然美し……」


……え。


なんで……。


あたしは言葉を飲み込んだ。


キンキラ、キンキラ、キンキラキン。


輝いていたのは陽射しを受けて輝きながら伝い落ちる、母の涙だった。


大量の涙が、母の美しい顔をぐしゃぐしゃに濡らしていた。


「すまんな、娘よ」


すまん、必死に声を絞り出して、母のは美しい唇を強く噛んだ。


薄紅色の唇が、鬱血していた。


「ちょっと、何泣いてんのさ……」


足がすくんだ。


母の涙を見たのは、父が亡くなった日とその翌日以来だ。



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