夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「それなのに、代わってやることもできんのか。ごめんな、翠……すまんな」
ごめん、ごめん。
翠、翠、すまんな、すまん。
何度も繰り返す母を、あたしは抱き締めた。
その体は想像していたより遥かに遥かに小さくて、華奢だった。
「すまんっ……母」
親を抱き締めた瞬間、涙の巨大ダムが大決壊して、たまっていた水が濁流になって流れた。
あたしは今日まで、本当に愛情を注がれてのうのうと生きて来たんだと、恥ずかしくなった。
「ごめんな、あたしがこんなことになって。迷惑かけて、すまん」
こんな華奢な体からあたしが生まれて来たのかと思うと、たまらなくなった。
本当は陸上を続けて、友達に囲まれながら高校生活をまっとうして、卒業する道を選択することだってできただろうに。
あたしを生まないという選択も、ふたりはできたのに。
それでも、周りの反対を押し切り、後ろ指を指されても、それでも。
この母は、あたしをこんなきらびやかな世界に送り出してくれた。
今のあたしと同じ、16歳という若さで。
その覚悟はどれほどのものだったのだろうか。
あたしには想像すらつかない。
出産の時、どれほどの痛みに耐えて、あたしをこの眩しい世界に送り出してくれたのか。
こんな、今にも折れそうな細い体ひとつで。
「なんでだ! なんで、あたしの娘なんだ! なんでこんないい女が病気にならなきゃならんのだ……」
あたしの頼りない腕の中で、母は譫言のように続けた。
ごめん、ごめん。
翠、翠、すまんな、すまん。
何度も繰り返す母を、あたしは抱き締めた。
その体は想像していたより遥かに遥かに小さくて、華奢だった。
「すまんっ……母」
親を抱き締めた瞬間、涙の巨大ダムが大決壊して、たまっていた水が濁流になって流れた。
あたしは今日まで、本当に愛情を注がれてのうのうと生きて来たんだと、恥ずかしくなった。
「ごめんな、あたしがこんなことになって。迷惑かけて、すまん」
こんな華奢な体からあたしが生まれて来たのかと思うと、たまらなくなった。
本当は陸上を続けて、友達に囲まれながら高校生活をまっとうして、卒業する道を選択することだってできただろうに。
あたしを生まないという選択も、ふたりはできたのに。
それでも、周りの反対を押し切り、後ろ指を指されても、それでも。
この母は、あたしをこんなきらびやかな世界に送り出してくれた。
今のあたしと同じ、16歳という若さで。
その覚悟はどれほどのものだったのだろうか。
あたしには想像すらつかない。
出産の時、どれほどの痛みに耐えて、あたしをこの眩しい世界に送り出してくれたのか。
こんな、今にも折れそうな細い体ひとつで。
「なんでだ! なんで、あたしの娘なんだ! なんでこんないい女が病気にならなきゃならんのだ……」
あたしの頼りない腕の中で、母は譫言のように続けた。