夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
そしたら、何度倒れても何度再発しても、大丈夫だろ。


「あたし、ここで生きてくよ。寿命が尽きるその日までさ」


母は何も言って来なかった。


隣のパイプ椅子に浅く腰掛けて、静かにあたしの声に耳を傾けているようだった。


「学校なんか、もう行きたくない」


行ったって惨めになるだけだ。


健康なみんなとは違うんだぞ、って思い知らされるだけだ。


「家にも帰りたくない」


茜と蒼太だって、こんなのが姉ちゃんだなんて、えらい迷惑に決まってる。


「ずっとここに居たい。誰にも会いたくない」


「翠……」


カタ……と椅子を立ち、母があたしの肩をそっと撫でる。


「気持ちは分かるけどな。クヨクヨしたってどうにもなんないだろ。お前らしくないこと言うなよ」


それは、弱音なんか吐くな、と遠回しに言ってるんだろうか。


あたしは、弱音を吐くことすら許されないのか。


そうだと言うのなら、なんて損な性格なんだろう。


「あたしらしい……?」


「そうさ。いつもみたいに笑ってんのがお前だろ。母はどんなことでも協力するからさ」


クヨクヨすんなよ、クヨクヨしたって何も変わんないだろ。


と、母は小さく笑った。


「どんな事でも?」


聞きながら頭を上げると、母は微笑みながらコクリと頷いた。


カッとなった。


「簡単に言うなよ! あたしらしいってどんなだよ!」


< 471 / 653 >

この作品をシェア

pagetop