夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
母の肩を借りて、ゆっくりゆっくり車椅子に移り、病室に備え付けられていた洗面台に向かった。
「は……?」
絶句した。
「何だ……これは」
鏡に映る己の姿を見て、固まるしかなかった。
包帯でぐるぐる巻きにされた頭。
げっそりとこけた頬。
青白い顔色に、色合いが最悪な紫色の唇。
ぶかぶかの病衣から露わになった、ホネホネロックの鎖骨。
「見事のブスだな、おい!」
ブスならまだいい。
これじゃあ、まるで、
「バイオハザード!」
ゾンビじゃんか。
ショックだった。
ショックでひっくり返るかと思った。
たった5日間そこらで、人はここまで不細工になれるものなんだろうか。
別に、浦島太郎みたいに玉手箱を開けたわけでもないのに。
ただ、5日間、眠っていただけなのに。
これじゃあ、手遅れ寸前の病人じゃないか。
「こんなの……」
今にも息絶えそうな人間の顔じゃないか。
自分の顔を見つめながら固まるあたしの背中を叩いて、
「なあに、美人じゃないか!」
母が得意げにフフンと鼻を鳴らした。
「このあたしに似て、お前は絶世の美女だ。ほれ、さっさと歯を磨け、ますます美しくなるぞ」
新品の歯ブラシに歯磨き粉をたっぷり乗せて、母はそれをあたしに握らせた。
「よく、目え覚ましたな、翠。さすが、あたしの自慢のむすめだ」
「なっ……ったり前だろ!」
あたしは慌てて歯ブラシを口に突っ込んだ。
そして、わざと大きな音を立ててシャカシャカ乱暴に歯を磨いた。
母が、涙ぐんで、今にも泣き出すんじゃないかと怖くなったから。
「は……?」
絶句した。
「何だ……これは」
鏡に映る己の姿を見て、固まるしかなかった。
包帯でぐるぐる巻きにされた頭。
げっそりとこけた頬。
青白い顔色に、色合いが最悪な紫色の唇。
ぶかぶかの病衣から露わになった、ホネホネロックの鎖骨。
「見事のブスだな、おい!」
ブスならまだいい。
これじゃあ、まるで、
「バイオハザード!」
ゾンビじゃんか。
ショックだった。
ショックでひっくり返るかと思った。
たった5日間そこらで、人はここまで不細工になれるものなんだろうか。
別に、浦島太郎みたいに玉手箱を開けたわけでもないのに。
ただ、5日間、眠っていただけなのに。
これじゃあ、手遅れ寸前の病人じゃないか。
「こんなの……」
今にも息絶えそうな人間の顔じゃないか。
自分の顔を見つめながら固まるあたしの背中を叩いて、
「なあに、美人じゃないか!」
母が得意げにフフンと鼻を鳴らした。
「このあたしに似て、お前は絶世の美女だ。ほれ、さっさと歯を磨け、ますます美しくなるぞ」
新品の歯ブラシに歯磨き粉をたっぷり乗せて、母はそれをあたしに握らせた。
「よく、目え覚ましたな、翠。さすが、あたしの自慢のむすめだ」
「なっ……ったり前だろ!」
あたしは慌てて歯ブラシを口に突っ込んだ。
そして、わざと大きな音を立ててシャカシャカ乱暴に歯を磨いた。
母が、涙ぐんで、今にも泣き出すんじゃないかと怖くなったから。