夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「どちらさま? 名はなんと?」
睨み付けるように明里が詰め寄ると、彼女は身構えるように体を小さくした。
「私、岩瀬涼子っていいます。3年です」
いわせ りょうこ。
その名前をすかさず、翠辞書にインプット完了。
女のあたしから見ても、素直に可愛いと思った。
クラスメイトたちがドギマギした様子で、あたしたちを見つめていた。
「岩瀬さん。ほう。で、ウチの夏井とはどういった関係で」
まるで、百貨店の店員のような淡々とした口調で明里が訪ねると、涼子さんは恥ずかしそうにクスリと笑った。
「違うの。関係とか、そんな。ただ……私が一方的に」
一方的、に……?
「えっ! なっ、何?」
大きな声を出して詰め寄ろうとしたあたしの右足を、明里がぎゅっと踏みつけた。
「翠は黙ってな!」
「あだーっ! 明里、てんめえーっ」
「翠!」
何かを訴えかけるような明里の眼差しに、それ以上、何も言い返せなかった。
「……へい。めんぼくねえ」
「あなた、みどりちゃんていうの?」
「……へ?」
「名前」
「へい……翠だけど」
「元気だね」
そう言って、涼子さんは上品な仕草でクツクツ笑った。
しかし、その清らかな仕草とは裏腹に、ぶっとんだ事を彼女は言い出した。
睨み付けるように明里が詰め寄ると、彼女は身構えるように体を小さくした。
「私、岩瀬涼子っていいます。3年です」
いわせ りょうこ。
その名前をすかさず、翠辞書にインプット完了。
女のあたしから見ても、素直に可愛いと思った。
クラスメイトたちがドギマギした様子で、あたしたちを見つめていた。
「岩瀬さん。ほう。で、ウチの夏井とはどういった関係で」
まるで、百貨店の店員のような淡々とした口調で明里が訪ねると、涼子さんは恥ずかしそうにクスリと笑った。
「違うの。関係とか、そんな。ただ……私が一方的に」
一方的、に……?
「えっ! なっ、何?」
大きな声を出して詰め寄ろうとしたあたしの右足を、明里がぎゅっと踏みつけた。
「翠は黙ってな!」
「あだーっ! 明里、てんめえーっ」
「翠!」
何かを訴えかけるような明里の眼差しに、それ以上、何も言い返せなかった。
「……へい。めんぼくねえ」
「あなた、みどりちゃんていうの?」
「……へ?」
「名前」
「へい……翠だけど」
「元気だね」
そう言って、涼子さんは上品な仕草でクツクツ笑った。
しかし、その清らかな仕草とは裏腹に、ぶっとんだ事を彼女は言い出した。