夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
あたしは、勇気を振り絞った。
―……ほっ! 補欠っ!
―……なに?
―アッ
―あ……?
―アアア……アドレス!
―へ?
―屁なんかしとらん!
―はっ?
―……アアア、アドレス……アドレス
―……
―アドレス! アドレス交換してはもらえまいか……?
―……
―……補欠と……メールしたい
―……うん
―……え? いいの?
―いいよ。いつでもメールしてきな
補欠のアドレスが欲しくて、喉から両手が出るほど欲しくて。
あの時、泣きそうになりながら持ち合わせている分の勇気を、全部使い切った。
あたしは左手をぎゅっと握って、涼子さんを睨んだ。
「あたしはっ……他人の力なんて借りてないもん! ずるい! そんな簡単に補欠のアドレス手に入れようだなんて!」
ずるい。
涼子さんが、真っ直ぐな目であたしを見ていた。
「翠ちゃん……夏井くんのこと……」
その先の言葉を先に言われるのだけは嫌で、だから、早口で言った。
「大好きだけど! それがどうかした?」
ずいっと詰め寄ったあたしから先に目を反らしたのは、涼子さんだった。
「そうなんだ。ごめんね」
別に謝って欲しいわけじゃない。
―……ほっ! 補欠っ!
―……なに?
―アッ
―あ……?
―アアア……アドレス!
―へ?
―屁なんかしとらん!
―はっ?
―……アアア、アドレス……アドレス
―……
―アドレス! アドレス交換してはもらえまいか……?
―……
―……補欠と……メールしたい
―……うん
―……え? いいの?
―いいよ。いつでもメールしてきな
補欠のアドレスが欲しくて、喉から両手が出るほど欲しくて。
あの時、泣きそうになりながら持ち合わせている分の勇気を、全部使い切った。
あたしは左手をぎゅっと握って、涼子さんを睨んだ。
「あたしはっ……他人の力なんて借りてないもん! ずるい! そんな簡単に補欠のアドレス手に入れようだなんて!」
ずるい。
涼子さんが、真っ直ぐな目であたしを見ていた。
「翠ちゃん……夏井くんのこと……」
その先の言葉を先に言われるのだけは嫌で、だから、早口で言った。
「大好きだけど! それがどうかした?」
ずいっと詰め寄ったあたしから先に目を反らしたのは、涼子さんだった。
「そうなんだ。ごめんね」
別に謝って欲しいわけじゃない。