夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
こりゃ一大事。


なんとしても、補欠とお涼の接触を防がねば。


「まずいってもんじゃねえべよ」


机の周りを不労者のようにうろうろ歩き回りながら、悶々と考える。


「補欠の種目は野球だべ……」


ふむ、と今度は顎に手を当ててシャーロック・ホームズのように、名探偵気取りで推理を始めてみる。


「野球は午前の競技種目。あたしはバスケ」


バスケも午前の競技種目だけど、リーグ戦だからもし一勝でもしてしまったら、おしまいだ。


完璧に、午後にもつれ込むだろう。


なにぶん、バスケにはそれなりに運動神経のいい男女が集まったのだ。


対戦の当たりによっちゃ、勝ってしまうかもしれん。


うちらが午後の試合をしてる間に、お涼が補欠に接触してしまったら……。


ジ・エンド。


「終わりじゃんかーっ!」


アウトだ、アウト!


ギャオー、と雄叫びを上げたあたしに、


「うっせえー!」


と明里が突っ込み、頭をペシッと叩いた。


「あたーっ」


ジーンと痛む後頭部を押さえながら振り向くと、みんなが唖然として立ち尽くしていた。


「何だあれ。夏井のこと好きっぽくね?」


結衣が面白くなさげに、表情を歪めた。


「つか、好きです宣言だべ。なんか気にくわんなあ」


やっぱり、そうか。



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