人間姫

再び王邸のパーティー会場。

ニーナは砂だらけのサンダルでぺたぺたと歩いていた。
たくさんの召し使いや貴族たちがドレスを着て集まっている。
その中で汚い格好で颯爽と会場を歩くニーナは貴族の悪口の対象であった。

「まぁ、あの子が一番下の」
「なんて汚らしい子なの、上の姫たちとは大違いね」

ニーナには二人年の離れた姉がいた。
二人とも礼儀正しい清楚な姫だ。

貴族の一人が言った。

「あの子から変なにおいがするわ……まさか、海のにおい?」
「たしかに……海のにおいがするわ!なんて不愉快なの!」

この王国では海は好かれていなかった。
特に、階級の上の人間には。
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