人間姫

「ニーナさまぁー?おりますかー?」

遠くからリザの声が聞こえてくる。
ニーナはハッとした。

ーー私今日が誕生日ってこと、忘れてたわ……。

「ニーナ様、もうすぐパーティーが始まります。屋敷へお戻りください」

リザは荒く呼吸をしながら言った。
走って来たのだから無理もない。

「わかったわ。さぁエディ。行きましょう」

ニーナが名前を呼ぶと、エディは尻尾を振る。
この一年間でエディは利口な犬に育った。

「さぁ可愛いお姫様とお利口なワンちゃん。早くしないと美味しいケーキがなくなってしまうわよ」

リザが笑いながら言うと、ニーナの目つきが変わった。

「早くいかなくちゃ。エディ、ゴー!」

へんてこな合図と共にニーナとエディは、リザを置いて走って行ってしまった。

ニーナは相当な甘党だ。
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