導光
ガラッ
心持ち緊張した様子で
新米教師は入ってきた。
「初めまして。
中岡蒼太(ナカオカソウタ)です。
一年間この講座を担当します。
よろしくお願いします。」
パチパチパチ
形式通りの拍手が響く。
うん、無難なつかみ。
最初の挨拶としては
可もなく不可もなくな感じ。
「はいっ!
早速やけど授業始めます!
テキストの1章あけてー」
淡々と授業が進んでいく。
・・・・・・分かりやすい。
大嫌いな物理化学がまるで
嘘のように理解できる。
中岡先生の説明は今まで
受けた物理化学の授業で一番
分かりやすいものだった。
普通の人だと思ってたけど
ちょっと見誤ったみたい。
本当は凄い人なのかも。
物理化学のことを話す
中岡先生の目は心から
物理化学を楽しみそれを
懸命に私たちに伝えようと
している熱い想いを秘めた
とても綺麗な目をしていた。