Love.Love.Loving!
頑張れ。頑張れ香彩。〝希唯〟ってたった二文字言えば解放されるんだ。…って、わかってるけどやっぱ声にするのはそう簡単じゃなかった。
『の、のののの、』
「なーんて、言うと思った?」
『い、………へ?』
「香彩からチュウしてもらう方にするーっ」
何回も続いた〝の〟。言う度にあたしの上げた顔はだんだんと下を向いていって。
まだ言ってる途中なのに、希唯君の意地悪な声色が入ってきたと思ったら、やっと噛みしめるように〝い〟を言えたあたし。
やった!これで解放されるっ!
途端、起こる喜び。…ん?でも待てよ。喜びながら希唯君の割って入ってきたセリフを思い出す。
思い出して、まぬけな声を零したあたしに無邪気だけど悪魔の声がそんなありえない最悪なことを言ってきて。
再び上げた顔の先には、ニッと悪戯っ子のように笑う希唯君の憎たらしいほどの美顔。
『…っせせせせこいよ希唯君!』
「なにが?」
『だって呼び捨てでいいって、』
「言ったけど?」
『だ、だからあたし…っ、』
「でも気が変わったんだもん」
『ななな、』
「はい、香彩約束。チュウ〜」
『…っ、希唯君のバカー!』
ムカつくムカつく。せっかくどもったけどちゃんと〝希唯〟って言ったのに!!