Love.Love.Loving!

そんな暑苦しい〝元〟既婚者の薄井先生が「いや、ちょっと待ってろ!俺がそっちに行く!」って、ええ!?来なくていいよ!!


声がでかいなら、こちらに向かう足音もでかい。

なにもかもでかい(背と心の器は小さい)薄井先生から逃げようと疲れきった足を再び動かすあたし。

だって捕まったら生徒指導室でお説教3時間!暑く…熱血なだけあって、お説教も長いのだ。


「あ!コラ待て!!」

『(待つわけないじゃんかぁ!)』


ドタドタ――…ではなくド〝ダ〟ド〝ダ〟と走って来る薄井先生。パタパタと逃げるあたし。もう…っしんどいよぉ…。これも希唯君の所為だ〜!!


起こったこと全部希唯君の所為にするあたしはかなり酷い人かも。でも、希唯君の所為にしないとやってけない。

てーか。あたし、ここ3日で逃げる役がなんか定着してない?そんな自分に泣けてきちゃう。


逃げて、逃げて、逃げて。

薄井先生から逃げ切ったあたしは、(薄井先生がくたばったとも言うけど)やっと息を乱しながら自分のクラスのドアを開けた。


け、ど。


「…須王。遅れて来といて前から堂々と入って来るとはいい根性してるな?」
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