Love.Love.Loving!

希唯君の所為で騒がしい頭の中、静かに入ってきたのはよく聞き慣れた声。響の声。


「…行くぞ、バカ」


トリップしていたあたしは響のことを忘れていて。あ、と気づいたときには響は掴んでいたあたしの腕を離していた。

言った声も素っ気なくて、どこか冷たい。

あたしがトリップしてたりしたら、絶対ケラケラ可笑しそうに笑ってきたりするのに。…あれ、響、怒ってる…?


シトラスの香りが横切って、あたしを置いて行く。

スタスタと無駄にかなり広い家の庭を歩いていく響の背中を慌てて追いかけるあたし。


『(なんで急に怒るのよぉ…)』


せっかく久しぶりに迎えにきてくれて。せっかく中1の冬ぶりに一緒に登校できるのに。

一緒に登校しなくなったのはあたしが原因だけど。でもこうやって迎えにきてくれたり、一緒に登校できたりするのが素直に嬉しいんだから。


背が高い響と背の低いあたしとじゃ足の長さが全くもって違う。

歩いてる響に追いつこうとするのに、あたしは走らなければならない。

ぱたぱた走って、やっと響のワイシャツを掴めたのは玄関から結構離れた門の前だった。
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