高熱にベッド<短&番外>
暫くして戻ってきた永樹さんの手には、ゼリーとスプーン。
なんだ…普通……?
『なんか食べたいかなぁって』
にっこり笑う永樹さんに、ホッと一安心する。
『あーん』
永樹さんがスプーンを私に向ける。
少し恥ずかしいが、あーんくらいお安い御用だ。
永樹さんも可愛いなぁ…。
あーんがしたいだなんて。
だなんて、微笑ましく永樹さんを見つめる。
しかし、早々に気付くべきだった。
こういう時の 嫌な予感 は外れたためしがないって事を。
何口か目、スプーンに盛られたゼリーが、永樹さんの手によって運ばれ、口に含んだ瞬間…
『あ…』
永樹さんが急に手を動かしから、口の端からゼリーが出てしまった。
恥ずかし…
自分ではどうする事も出来ず、ゼリーが首を伝う気持ち悪さに顔を歪ませる。
『もっと上手に食べられないの?』
そう言う永樹さんは、私の体に付いたゼリーを拭いてくれるわけではなく、それどころかどんどんゼリーを運ぶ。
「ん!んんん!」
(もう入りません!!)
ひっきりなしに入れられたせいで飲み込む瞬間さえなく、私の口の中はゼリーで一杯に。
一杯すぎて既に飲み込めない所まで来ていた。
私はゼリーを大量に口に含んだまま首を横に振る。
『全部食べなきゃ』
そう言ってスプーンを無理矢理突っ込まれた瞬間、入り切らなくなったゼリーは口から漏れだす。