【短編】幼なじみの恋物語
幼なじみから恋人へ
「春?」
渚はベンチから立ち上がった。
「渚、ここにいたんだ」
「うん。だって、ここ春との思い出の場所だから。喧嘩をして仲直りするのもいつもここだったでしょ?」
「そうだったな」
二人の間に沈黙が流れた。




「渚、俺やっぱりおまえが好き」




俺は渚から目を逸らさなかった。




「離れて、やっぱり俺には渚が必要だって思った。いつも一緒にいるのが当たり前だったから。渚が俺の隣りにいないのは、すごい悲しかった」
俺は渚に近寄った。渚は泣いていた。俺は渚の涙を拭った。




泣いている渚は、見たくないから。




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