変人執事とツンツンお嬢様
ドキドキする
今まで生きてきて、こんなの経験したことない。
「はい、終わりましたよ」
「っ…ど、どうもありがとう、」
なんとか乗り越えた洗顔。
(……つ、疲れた。)
あれから――唇に指が当たった事件?から、どうにも冷静が保てなくて。
ずっと無になろうと努力をしているうちに彼の手が触れなくなった。
今は、その手のかわりにタオルが顔を滑っている途中だ。
「……」
「……」
「………」
「………」
そして、会話は全くない。
なぜなら、だ。
(き、緊張する……)
さっきからずっとカチコチに固まってしまって、零慈くんは私の顔を丁寧に拭いている。
もちろん無口に、私の顔を見つめて。
(…な、何もこんな緊張することはないのに……)
そう。
初めてだからといっても、彼は執事なんだから……
.