幸せの音が響く
何で、ちょっとでも思ったんだろう。

何で、ちょっとでも信じたんだろう。


あり得るわけないのに。


変に期待して、変に勇気振り絞って行動しようとするから――

浅はかな考えと浅はかな行動が結局自分の首を締めるんじゃん。


本当・・・バカだよ私。




図書室を出てひたすら走り続けた足を止めた。


どれだけ涙を拭っても、溢れて止まらない。

どれだけ忘れようとしても、忘れられない。


鷹野君が言ったあの言葉。 



“俺が好きなのは、高村だよ”



言われた時、本当にドキッとした。でも――



“ごめん、ウソ。今の冗談。忘れて”



何度も何度も2つの言葉が頭の中で交差する。


本当なのか嘘なのか。

冗談なのか本気なのか。



冗談て言われたのに、まだ微かな期待が胸をよぎる自分が醜くて情けない。


なんて、しつこいの?


もうヤダ・・・。









お願い―――

1回でいい。1回でいいから。






告白は嘘だと言って――








私の期待を裏切って――







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