差別
 橋本君の事があった日から、2週間もしない内にまた悪夢のような事が起きる。しかし皆は少しずつ成長していたので、思わぬ方向に話が進んでしまう。

 「さあ皆さん、今日は日頃の授業態度が大変よろしいので、素敵なプレゼントをします。」
 小野先生は1時限目の授業の初めにそう言った。ただその一言残したまま、教室からさっさと出て行った、悠太達は何のことかサッパリ判らない。しばらくしても、何も起こらないのに痺れを切らした坂口君と栗田君が、教室から廊下に出て小野先生の後を追った。彼達が急いで帰ってきて、自分の机に戻るなり後ろの席の田中君や平岡さんに言い出した。
「おい、あの人が来てるぞ!」
「だれだい、あの人って?」
「小野先生を追って行ったら、校長室に熊坂が入ったのを見た!」
「あの先生が来たのか?」
「もう先生じゃないんだ。辞めさせられたって聞いたぞ」
「おい、いいのか?この前みたいにすると、また来るぞ!来てもいいのか?」
「徐 美姫が来なくなったのを、覚えているか?」
「他の皆も、嫌な事をされただろう!!」
 そこまで話したら、廊下の気はいを見ていた栗田くんが、誰かが教室に向かって来た事を皆に知らせた。
「おい!来たぞ!!」
 教室の窓から、女の人が歩いて来るのが見えると、ドアのところで止まった。
ガラガラとドアが開くと、女の人は教壇の上に上がり、黒板を背にして悠太達に挨拶をした。やはり熊坂先生だった、いや学校を辞めたのなら、元先生になる。教壇に立つなり出席を取り出した。
「おはようございます。皆さん元気でしたか?」
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