magnet
既に一年生の時間割は把握しているらしい。
今日は数学があるから遅く終わるんだって。数学は無駄に時間があるからね。
「終わった!はい。電話!」
「はいはい」
数少ないメモリーから湊の番号を呼び起こして掛ける。さすがの私も湊の番号くらい聞いてるよ。と言っても湊から貰った物で聞くと言う選択肢は全く思いつかなかったけど。
数回のコールの後、ガヤガヤとした音が聞こえ、
『はい?』
声が聞こえた。
「愛架が湊に会いたいんだって」
『え?はい。じゃあ今からそっちに行きます』
「分かった。また後で」
短い会話で終わらせて携帯を切った。
途端に愛架に「何で私なの!?心菜でしょ!?それに素っ気なさすぎるよ!」とか言われてしまった。
だから、私は仕方ない事だって割りきってたから今日会えなくてもいいんだよ。と言おうと思ったけど言葉を飲み込んだ。