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「湊くん。どうして心菜は湊くんにデレないんだろうね」


やってきた湊にいきなりそんな言葉を吹っ掛ける。


いつもの事なので口を挟まず頬杖をついて傍観することにした。


「ここちゃん先輩が俺にデレたら、それは天変地異の前触れですよ。それくらいあり得ません。ですよね。先輩」


傍観の意志はニッコリと笑う相手によって一瞬で崩される。


私を話に巻き込まないで欲しい。でもまぁ、


「それもそうだね。よくわかってるじゃん」


「えー……あ！なら、湊くんがデレにいくべきだよ」


「俺ですか？俺ならちゃんとここちゃん先輩にデレてますよ？その証拠に性格が丸くなりましたよ」


自分で言うか。と心の中でツッコミながら納得。


最初に比べたらそうだよね。棘を抜けば悪い奴じゃない。むしろいいやつだ。


「違うの！私が期待してるのは、もっとこう……！」


唸りながら身振り手振りどうにか説明しようとしていたが肝心の言葉が出ないようだった。


でも、何となく分かるよ。絶対に期待には沿えないけど。