magnet


再び足を踏み入れれば朔は寝息を立てていた。


起こさないようにそっとタオルを額に乗せる。


私が出来ること、あまりないかも。そもそも看病なんて分からない。


考えてから、はぁ。と溜め息を吐き、人の家に長い間滞在するものじゃないので、借りていた物を机にそっと置いて帰ろうと思った。が、もう1つ持ってきたものをベッドの傍に放置しているのに気が付いた。


あれは冷蔵庫にいれた方がいいよね。


勝手に冷蔵庫を開けることになってしまうけど置いておくのもどうかと思い、ベッドに近寄った。


ビニール袋が擦れる音を立てたその時、朔は薄く目を開けた。


「……もう、帰るんですか……?」


「あ、うん。私いても仕方ないし」


「――だめ。まだ、側に……」


「え?きゃ……!?」


突然体が傾いたかと思えば、私は朔の腕の中にいた。




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