magnet


愛架に言わせれば、この格好は「可愛い魔女さん」だそうだ。


でっかいトンガリ帽に黒いマント、何気にマントの中は制服で足下はロングブーツだったりする。


「あ、そのブーツは私のだから後で返してね」


もう、マントと帽子を脱ぎ捨てたい。


いや、一番脱ぎ捨てたいのは……


「ヅラとってもいい?」


「ヅラじゃないよウィッグ」


そして、駄目らしい。脱ぎ捨てようとする手を掴まれてどうにもできないのだ。


この金茶のロングヅ…ウィッグが余計に気持ち悪いと言うのに。


「大丈夫だって!試しに仁の所へ行こうよ」


「ちょ、愛架!」


グイグイと引っ張られては歩くしかない。


何度確信しただろうか。愛架には敵わない。と。




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