magnet


「……」


「……」


狐面の相手と向かい合って数秒後。


「……仁?」


恐る恐る問い掛ければコクリと頷いた。


「あ、心菜?」


お面を外さずに問い掛けてきたのでコクリと頷く。


「愛架。何で仁は狐面なの」


「だって被りたいって言うから。本人の意志を尊重したんだよー」


「じゃあ私だって狐面がいいよ」


「残念ー。当日は意見を聞きません」


若干仁に恨みを持った。私だって知ってたら言ったよね。何故、仁はその事を言ってくれなかったのだろうか。


裏切られたような気分である。同類でも仁の方がちゃっかりしていた。






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