magnet
音がしたのは扉の方。
もしかして、もしかすると。
「……開かないです」
最悪の展開だ。
この学校の教師にいささか不安を覚えた。中も見ないで鍵閉めるなんてあり得ない。せめて中を確認するのが当たり前だ。
ゴンゴンと扉を叩いて、誰かいませんか?と問いかけても返事はない。
それもそのはず、この場所は三階の一番端の部屋で殆んど誰も通りはしない。
「クソ教師。百回絞め殺す」
「殺人の罪に問われるよ」
「その時は、一緒にここちゃん先輩も逃亡してください」
「その時は……はぁ。もう口論する気も起きない」
「……同感です」
二人でため息を着いて座り込む。