magnet


グルリと資料室を見渡しても棚があるだけ。窓などはない。多分もとより物置部屋だから必要なかったのだろう。


ここからの助けは不可。窓があれば叫べたのに。


「そうだ。携帯!湊携帯持ってないの?」


「間の悪い事に俺の携帯は鞄の中です。先輩は?」


「……机に突っ込んだまま」


先生に隠れて携帯を操作したとき突然名前を呼ばれてビックリして机に突っ込んで、日直の仕事を言われて……目眩が起こりそうだ。これは軽く監禁状態だ。


「どうしよう……」


「どうもできないんじゃないですか?」


諦めたように吐き出す。


人が来るのを待つしかないのかな……


「ここ来ること誰かに言った?」


「先輩に会う事自体予想外でした」


私だって愛架に言ってない。探してくれるかなぁ。なんて思いながら息苦しい空間には嫌気が差していた。






< 17 / 215 >

この作品をシェア

pagetop