magnet
この空間は暑い。空気が重い。
普段ほとんど開けないから当然で私も湊も上着を一枚脱いでいた。
隣に座ることはなく離れた所に座っているのは暑苦しいからだ。
結構時間経ってるよね。ちょっとしたサウナに居るみたい。
「蒸す……暑い……暑い」
「暑い暑い言わないで下さい……」
「すいません」
緊急事態のためか、もう言葉に棘は存在しなかった。パタパタとシャツになんとか空気を入れようとする音だけが聞こえる。
この状態が続けばどうなるんだろ?人なんて来ない場所だから
「……死ぬのかな?」
誰になく聞いた言葉に返ってくる様子はない。
別に答えが欲しかった訳じゃなかったから、まぁいいか。それにさすがにそれはないな。と思っていた時息を吸う音が聞こえた。
「ここちゃん先輩と死ねるなら俺別にいいよ?」