magnet


ほんの少しの間だったのにとてもとても懐かしい。触れたいだなんて今でも思う。


けど……それは今の私には出来ない事だ。


「――ごめん。全部私のせいだ」


皆にそうさせたのも、朔がそうなったのも、私のせいだからまずはちゃんと謝る所からしないといけない。


「あの日、酷いこと言ってごめん」


本当に謝るしか出来なくて。


「最低だとか、錯覚だとか、全部嘘。思ってもないし、思われたくもないのに……ごめん」


上手く言えなくて。


「好きで……っごめん」


それでも自分を責めるように謝らないと罪悪感と後悔で押し潰されそうだった。


キュッと唇を噛んでも尚、顔を伏せたり反らしたりしなかった。


ただ、見つめていた。




< 196 / 215 >

この作品をシェア

pagetop