magnet
仕方なく前に向き直った。
私が前を見て目を会わせるとニコッと笑う。
嫌な笑いだな。
「俺が勝ったら、言うこと1つ聞いてください」
「勝てるわけないでしょ」
反射的に答えた。球技大会には今も部活をしている人と経験者が数名紛れている。そのチームに勝てるわけがない。
ましてや、上級生は確か強かった気がする。
「俺、結構バスケ出来るんですよ?勝って見せます。先輩の為にも」
自信満々に告げて体育館に入っていく。
言い忘れたけど私の為じゃなくてクラスの為だと言った方がいい。そして、私は承諾していない。
だからこの約束は無効だよね。