magnet


二人とも目を見開いている。


そりゃそうだ。見知らぬ人が突然出てきたのだから。でも、仕方ないよね。


チラッと男を見ると、体格からして多分三年生だろう。十分に出来上がっている。


「えーっと、篠田さん。戻ろうか?」


相手を無視して篠田さんに促す。怖かったのか何なのかキュッと制服を掴んできた。


それを振り払いもせず一緒に歩くと、


「ちょっと待てよ」


案の定呼び止められた。


けれども、篠田さんに歩くように促す。


「おい待てよ!」


話するだけ無駄だと思ったからの所業なのだが、相手を逆上させてしまったようだ。


「っ!!」


ガッ。と髪を掴まれる。


ギリギリと強い力で引っ張られた。




< 56 / 215 >

この作品をシェア

pagetop