magnet
二人とも目を見開いている。
そりゃそうだ。見知らぬ人が突然出てきたのだから。でも、仕方ないよね。
チラッと男を見ると、体格からして多分三年生だろう。十分に出来上がっている。
「えーっと、篠田さん。戻ろうか?」
相手を無視して篠田さんに促す。怖かったのか何なのかキュッと制服を掴んできた。
それを振り払いもせず一緒に歩くと、
「ちょっと待てよ」
案の定呼び止められた。
けれども、篠田さんに歩くように促す。
「おい待てよ!」
話するだけ無駄だと思ったからの所業なのだが、相手を逆上させてしまったようだ。
「っ!!」
ガッ。と髪を掴まれる。
ギリギリと強い力で引っ張られた。