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もう、本当最悪。これだけの事で、こんな仕打ち。
「俺は、この子と話してたんだ。邪魔すんなよな?」
頭、痛い。
苦痛に顔を歪めながら篠田さんに目で、行って。と訴えるもオロオロとし、涙を流している。
通行人は誰もいない。
それもそうだろう、告白するにはそれが一番だし、私も人気のない廊下を選んだ結果がこれなのだから。
「先輩。好きな子、泣かせてますけど……」
「っるせぇ!」
大きな声が耳を突き破って思わず目をキュッと閉じた。殴られたりするのかな?それはごめんだ。
篠田さんが何かに気付いて口を開く。
「湊くん!」
「っうあ゛ぁ!!?」
その声とほぼ同時に先輩の呻き声。
一気に頭は軽くなった。ハラリハラリと私の髪が散る。
振り向くと倒れて足の甲を抑えるみっともない先輩と数十歩先には湊の姿があった。