<<side続編>>双子とあたし。
カサッと音がした方を向いてみると、そこには白い薔薇が詰まった花束が悠斗と私の間にあった。
それが彼からの贈り物だと気付くのに時間がかかった。
「あ、ありがとう…」
両手で受け取って、薔薇に顔を近づけてみた。
甘く、そしてどこか懐かしいような匂いが漂う。
「……いい匂い」
素直な感想を述べると悠斗は満足したように頷いた。
「おめでとう」
もう一度祝福の言葉を述べ、悠斗はバージンロードから退いた。
「行こう」
花束の余韻に浸っていると、強引に悠太が腕を引っ張った。
「うん」
共に歩く、というよりか連れていかれるように、私は手を引かれて式場を後にした。
花束を持つ一方の腕に顔を引きつらせてしまいそうなほどの痛みが伴う。
悠太の顔は見えない。
ただ、その背中からして怒っているのは確かだった。
一瞬、昨日の唐揚げをまた思い出してしまったが、これだけは確実に違うことはさすがの薫にもわかった。