読めない手紙
お茶はいいって瞬は言ったはずなのに、お母さんはわざわざ持ってきた。
「ごめんねぇ、今うち、こんなだからコーヒーしかなかったのよ」
水でいいよ、
こんなやつ。
なんて言うと瞬にあとで何されるかわかったもんじゃないので、黙っておいた。
「わざわざありがとうございます、いただきます」
「いいのよぉ」
瞬は丁寧にトレーごと受け取り、お母さんはうっとりしながら部屋を出ていった。
瞬を見たかっただけだよね、あれは。
「ここ置くね」
「あ、うん」
瞬は私が片づけたばかりのテーブルの上に2つカップを並べた。
そのひとつを自分のほうによせて、砂糖とミルクをたっぷりいれている。