読めない手紙
瞬は甘いのが好きだ。
みんなの前ではかっこつけて控えてるけど、私だけだと『かっこつけるだけソン』って言って思う存分甘くする。
「たからもの」
「え?」
急に瞬がそう言って、私は目をぱちくりさせた。
「箱の中に入ってるものだよ」
あ、なるほど。
邪魔が入ったからその話すっかり頭から飛んでた。
「たからものって……」
宝石?
金貨?
月の石?
「あのな、たからものって言っても」
瞬が私の脳内を読んだかのように、あきれながらコーヒーを一口。
「その人にとってのたからもの」
「………」
えと、よくわからない。
固まる私を見かねて、瞬はことりとカップをテーブルに置く。