DIABOLOS~哀婉の詩~
隔離
モンの一件以来、国の民たちは我々を避けた。いや、正確には国王が我々を隔離したのだ。今までの我々は城外に出ることはある程度許されていた。しかし、国の外に出ることは許されていなかった。他国に我々の存在を知られることを恐れたのだろう。
そして、シモンの覚醒。"使徒"の覚醒が起こり始めたからか、今では城の外にすら出ることが叶わなくなった。しかし我々の中には城の外に出る気があるものは居なかった。今までだって変わりない。我々の存在は民にとっては、バケモノとなんの変わりもないんだ。子供の頃から忌み嫌われていた。
我々兄弟は、時には親子、時には友達と自然とそのような感覚で一緒に暮らしてきたんだ。いまさら、人の友達など必要ないとさえ思っている。
ただ、シモンの墓は無論城外・・・町外れの丘の上に労いのためか、簡単な墓石が立てられたのだった。幸いのことか、そこは我々が幼い頃よく遊んでいたあの丘だった。
我々が城外にでる理由はただそれだけだった。
満月が輝く夜、僕はやつらが寝静まったあとにシモンの墓の前にやってきた。
『シモン…僕たちはこれからどうすればいいのかな…正直怖いんだ…』
そう呟きながら、僕はシモンの墓石に杯を捧げた。垂れ落ちる酒が墓石に、土に染み込んでいく。まるでシモンが飲んでいるように思えて、僕は微笑んだ。
『今を懸命に生きよう…』
おそらく幻聴だろうが、僕にははっきりと聞こえた。シモンの声だ。何かを悟った僕は丸々とした月を見つめて、幼い頃の事を思い出していた。
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