死のスケッチブック
そして弾かれるように、カバンを持って家を飛び出した。

電車で切符を買い、あの街を目指す。

電車に乗っている間に、何度もメールを送った。

しかし返答は無かった。

高鳴る鼓動を深呼吸で抑え、目的地に着くとすぐに駆け出した。

電話をかけても、実花は出なかった。

仕方なく実花の実家に電話をかけるも、学校へ行ったと聞かされた。

きっと家を出た後に、かけてきたのだろう。

「くそっ! どこを探せばいいんだ」

街はこの五年でかなり様変わりしていた。

真名は一度立ち止まり、深呼吸を繰り返した。

「落ち着け、冷静になれ」

低く呟き、思考を巡らせる。

実花はかなり動揺していた。

そして自分に助けを求めてきた。
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