死のスケッチブック
…もし自ら命を絶とうと考えているのならば、真名との思い出の場所でと思ったのかもしれない。

「一か八かっ!」

真名は再び駆け出した。

昔住んでいた場所は小高い場所に家があった。

近くには公園があって、そこから街並みが一望できた。

その景色を見ていると、悩みが軽くなると、実花は泣き笑いの顔でよく言っていた。

少し気弱で内向的な実花は、あまり人付き合いが上手ではなかった。

真名は人付き合いが苦手ながらも、上手く渡ってこれた。

そんな二人だからこそ、親友になれた。

真名は実花と一緒にいて、心が安らいだ。楽だった。

実花も真名の前では、自然体になれると喜んでいた。
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