死のスケッチブック
だから本当は引っ越すのはイヤだった。

けれどまだ十二歳で、どうしようも無かった。

引っ越してからも電話やメールは頻繁に行っていた。

休日ともなれば、お互いの街で遊んだりもした。

高校に入る頃には、お互い私生活が忙しくなり、会う機会も減ってしまっていた。

けれど真名は、実花が充実した生活を送っているのだと思っていた。

絵の勉強がしたいと、第一志望に美術で有名な高校を選んだ。

合格したと言っていた声は、本当に嬉しそうだった。

その後も絵の勉強でいろいろ忙しいことは知っていた。

けれど悩みなんて一度も聞いていなかった!

「実花…。何で黙っていたんだよ」
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