道摩の娘
「よかった。早速だけどりい、泊まるとこないなら家来る?」
有り難い申し出だ。実際困っていたのだ。だがそれに飛びつくのも図々しい気がして首を振った。
「それはさすがに悪…」
「気にしないで。っていうか、話聞いた感じだとこれから道満殿来るんでしょ?あの人なかなか帰ってくれないからさ、連れてってほしいんだ」
「…主人がご迷惑を」
りいはがっくりとうなだれた。
◆
やっぱりというか、安倍邸は広かった。
大貴族の邸宅とはいかないが、それでもりいにとっては充分別世界だ。
「おお、遅かったな。…友達か?」
庭に面した廊で酒を呑んでいた男性が振り向いた。
厳つい顔だが、人好きのする笑みを浮かべている。
「父上…明日もお早いのでしょう?」
晴明が嘆息。
顔立ちはあまり似ていないが、親子だけあって人当たりのいい雰囲気はそっくりだ。
「父上、この子、あの道満殿の供の子です」
「ああ、あの!」
あの、で通じている…
りいは頭が痛くなった。
「し、主人がいつもご迷惑をおかけしまして…」
平伏するりい。
「はは、まああの人愉快だからなー…ゆっくりしてけよ」
「はあ…どうも」
「りい、案内するよ」
晴明が袖を引いた。
通されたのは広くて綺麗な部屋。
「いや、あの、私は廊下とか庭で充分だぞ!?」
晴明が呆れた顔をする。
「それじゃ泊まってる意味ないって。…余ってる単衣出してくるから待ってて」
「何から何まですまない」
「いや、俺のほうこそりいを攻撃しちゃったしね。ごめん」
晴明はどこか不思議な奴だが、悪い人間ではなさそうだ。
幸運だったなと思う。
りいは微笑んだ。
有り難い申し出だ。実際困っていたのだ。だがそれに飛びつくのも図々しい気がして首を振った。
「それはさすがに悪…」
「気にしないで。っていうか、話聞いた感じだとこれから道満殿来るんでしょ?あの人なかなか帰ってくれないからさ、連れてってほしいんだ」
「…主人がご迷惑を」
りいはがっくりとうなだれた。
◆
やっぱりというか、安倍邸は広かった。
大貴族の邸宅とはいかないが、それでもりいにとっては充分別世界だ。
「おお、遅かったな。…友達か?」
庭に面した廊で酒を呑んでいた男性が振り向いた。
厳つい顔だが、人好きのする笑みを浮かべている。
「父上…明日もお早いのでしょう?」
晴明が嘆息。
顔立ちはあまり似ていないが、親子だけあって人当たりのいい雰囲気はそっくりだ。
「父上、この子、あの道満殿の供の子です」
「ああ、あの!」
あの、で通じている…
りいは頭が痛くなった。
「し、主人がいつもご迷惑をおかけしまして…」
平伏するりい。
「はは、まああの人愉快だからなー…ゆっくりしてけよ」
「はあ…どうも」
「りい、案内するよ」
晴明が袖を引いた。
通されたのは広くて綺麗な部屋。
「いや、あの、私は廊下とか庭で充分だぞ!?」
晴明が呆れた顔をする。
「それじゃ泊まってる意味ないって。…余ってる単衣出してくるから待ってて」
「何から何まですまない」
「いや、俺のほうこそりいを攻撃しちゃったしね。ごめん」
晴明はどこか不思議な奴だが、悪い人間ではなさそうだ。
幸運だったなと思う。
りいは微笑んだ。