秘密

一緒に帰ると言っても、佐野君が先を歩き、私がその後からついて行くだけ。
教室までは手を繋げていたけど、そこからはまだ校内にぽつりぽつりと生徒が残っていて、お互いに喋らず、靴に履き替えて校舎を出た。

正門を出てバス停へと向かい、少しゆっくり歩く。

ホントは肩を並べて歩きたいんだけど、まだ学校の近くだし、誰に会うかもわからない。
佐野君は校内でも目立つし、変な噂がたっても困る。

佐野君の彼女や佑樹の耳に入ったりしたら、もう佐野君とは一緒に居られない。

…そんなのは嫌だ。

佐野君の背中を見つめながら、そんな事を考えていると、佐野君は私を振り返り、ニッコリと笑った。

私の不安な心を感じてくれたの?佐野君。

これ以上近付けない、ほんの数メートルの距離がとてももどかしい…

でもずっとこのまま佐野君の背中を見つめながら歩いていたい。

バス停がもっと遠くにあったらいいのに。

…もう着いちゃった。


私はベンチに腰掛け、佐野君は時刻表を確認。

「…後10分位で来るな」

そう呟いて、私の横に座る佐野君。

もう話し掛けてもいいよね?

「バイト、何時から?」

「ん〜、適当だけど、19時までにはには入るようにしてる」

「…終るの何時?」

「それも適当。閉店するまで」

「…ホントに適当なんだね」

「まぁね。マスターが適当な人だから。はは」

「バイト、楽しいし?」

「うん。楽しいよ、酔っ払い相手にすんのは大変だけどね?」

「…私もバイトしてみようなかぁ?」

「…何で?」

「……私も…バイクの免許…取りたいかなって…」

密かに思っていた事を告白してみた、すると佐野君は、

「あははは。奏には無理無理」

「…むっ…無理じゃないもんっ!」

笑う佐野君に私はムキになってしまった。

「やめとけ、やめとけ。奏はずっと俺の後ろに乗ってればいいよ」

そう言って笑いながら私の頭を軽く小突く佐野君。

佐野君のその言葉に私は激しく動揺してしまった。

それってどう言う意味?
……ずっとって…

これからもずっと一緒に居たいって事?
…佐野君も…私と同じ気持ちなの?

……だったら嬉しい。

……けど…

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