秘密

響屋を出て7〜8分程歩くとrainの看板が見えてきた。

7階建てのビルの地下のあるrain。

その入口付近には小柄な女が酔っているらしく、大声を上げて、二人の男達と何やら言い争っていた。

「だから、しつこいんだってば!もう帰るの!」

「誘って来たのはそっちだろ?」

「うるさいっ!離して!」

女は手に持ったバッグを振り上げ、女の腕を掴んでいる男の顔にそれを叩き付けた。

「…痛っ!何しやがる!このアマ!」

男が拳を上に上げた瞬間。

「はいそこまで♪女の子殴っちゃダメだろ?」

カケルが男の振り上げた拳を掴んだ。

「…ああ?誰だよお前、邪魔すんな!」

「俺?俺は女の子の見方♪カケルくんだよ?」

どこまでもにこやかなカケル。

「知らねぇよ!離せよ!」

男はカケルの腕を振りほどき、女の腕を掴むと、そのまま地下へと続く階段へと向かう。

「来いよ」

「…嫌っ!」

すると、横からマスターが男の胸ぐらを掴んだ。

「…あ…マスター…」

どうやら男はマスターを知っている様子。

「…その子…店に連れてってどうする気だ?」

「…別に…何も…」

「…そうか…最近、お前らの善からぬ噂聞くけど…俺が居ること忘れんなよ?」

男はマスターにギロリと睨まれ、その視線から逃れるように目を反らす。

「……はい…」

マスターが胸ぐらを離すと、男達は女を残し地下へと消えていった。

さすがマスター。カッコいい。

…でも超こえぇ…はは…

で?結局俺は何しにここまで来たんだ?

まあ、こんな時、男手は沢山あった方がいいんだけどね?

「はいは〜い!見せもんじゃないよ〜、みんな撤収〜!」

いつの間にかギャラリーが出来てたらしく、恭介がそれに手を上げ声を出す。

カケルが視線を女に移すと、

「…もう帰った方がいい、まだ高校生だろ?君?」

「……はい」

顔を上げてカケルを見上げる女、その時女の顔がハッキリと見えた。

…ん?アイツは……

俺は女に近付くと、

「……美里」

「……茜?…」


その女は美里だった。



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