秘密
「…ほら、水」
「……うん」
ペットボトルのミネラルウォーターを美里が座るカウンターの前に置く。
大分酔いが覚めたのか、少し落ち着いたみたいだ。
あれから美里を連れて、店に戻ったら、既に誰も居なくなっていて、さっきまで賑やかだった店内はしんと静まり返っていた。
「…お前さ、あんな所に出入りしてんの?」
「…ううん、ナンパされて…一緒に飲んでたら、あそこに連れて来られたの…茜こそ何であそこに居たの?」
「…店の客に女が絡まれてるって聞いたから…うちのマスター、そう言うのほっとけないたちなんだよ…」
「…そっか、茜はここでバイトしてんの?」
「うん」
美里はペットボトルを開けて、一気に半分位まで飲むと、激しくむせかえった。
「…ゴホゴホッ」
「大丈夫か?また吐くか?」
背中を擦ってやると、
「…だい…じょぶ、ゴホッ…」
「…トイレ行くか?」
美里の腕を掴み立ち上がらせると、美里はギュッと俺にしがみついてきた。
「…茜…」
「………」
「えっちしよ…」
「……ごめん…無理」
「…何で?」
「抱きたくないから」
「…どうしても…ダメ?…」
「…ごめん」
美里は身体を離し、俺の顔を見て笑う。
「…あはは…嘘だよ?もしかして本気にした?」
その表情は、無理して引き出した笑顔だとわかってたけど、
「…いや、嘘だってわかってた」
と、俺も美里に嘘をつく。
「あはは。さっきまでゲロ吐いてた女なんか抱きたくもないよね?はは…」
再び美里はカウンター席に腰掛けると、残りのミネラルウォーターを飲み干した。
「…あたしの事…バカな女だって思ってるでしょ?」
俺は美里の隣に腰掛けた。
「……少しな」
「……あたしの秘密教えてあげる」
美里はバッグの中から一枚の写真を取り出し、俺の前に置いた、手に取り見てみると、一人の女の子のが写っていて、顔は四角く、目は腫れぼったくて、鼻は大きく膨らんで、お世辞にも可愛いとは言えないような顔をしていた。
「……それ、中学の時のあたしだよ?スッゴい不細工でしょ?」
そう言って美里は俺から写真を取り、ヒラヒラと振って笑ってみせた。